朝5時に起きて部屋の窓を空けると、外は一面雪景色。テンションあがるなあ。こんな景色を眺めながら、暖かい部屋に入り込む冷気をそのままにしてしばらく椅子に腰かけてぼうっとしているのが何とも贅沢。
しんしんと雪が降る、まだ人もまばらな夜明け前の街歩くのは本当に気分がいい。昨日は移動もあったせいか、まだ実感が無く何とな~く過ごしてまったが、夜明け前の寒さに身が引き締まって、休暇+チェコといううれしさがじんわりくる。
電車に乗って、窓の外の雪景色をぼうっと眺めること1時間半、本日の目的地「Plzen」に到着。こちらも2年ぶり。駅自体は大きくなったような気がするが、「本丸」部分のたたずまいは変わらず。正面をちゃんと撮れば良かったね。
ちょっと散歩したあと、向かうは「ビール博物館」では無く、隣接している「Na parkanu」。3度目ともなると、特に地図を見なくても自然とここにたどり着くことができる。まったくもって久しぶりという気がしなかったが、いざ入店しようとすると、緊張とわくわく感がふつふつとこみ上げてくる。
オーダーしたのはもちろん、ここの名物であり、基本的にはここに来ないと飲むことができない”無濾過”の Urquell。どーです、この圧倒的な存在感。それでいて、酵母による濁りが優しさにも見えてくる。興味無い人にとってはまったくだと思うけど、チェコでビールに対峙する時って本当に幸せな気持ちになるんだよなあ。特に、こういうスペシャルなビールの前では。
チェコ在住のHさんに「泡ビール」というのががあるということを事前に伺っていたが、もしかして、ここでもできるのか?店員さんに「この Mliko ってのやってくれる?」と聞いてみると、当たり前のようにオーダーが通って・・・。
これだあ、無濾過Urquell の泡ビール!!キメのとことん細かい泡が本当に奇麗。泡をなめてみたところ、さすがに苦い。泡が落ち着くのを待って飲んでみたところ、ガスが抜けてよりまろやかな味わいに。ただ、話のタネに一回頼んでみるのがいいという感じかな。
詰め物をしたチキンのローストにフレンチフライを添えて。申し分ない”アテ”が来たので、さらに普通の無濾過をもう一杯追加。そういば、逆に「泡なしビール」はどんな感じなんだろう。キレッ、キレなのかな。頼んでみればよかった。
まだ3回しか来てないけど、私の中では既に”行きつけ”感覚となっている。初の「泡ビール」体験をする等、朝からここまでの流れだけでも十分立派なビール巡りだと思っているのだが、この日はとっても重厚長大だったので、まだ3分の1くらい。
駅方面へちょっと戻って「Prazdroj 醸造所」に到着。相変わらずの雄姿にほれぼれ。2年前は通り過ぎただけだったが、今回は2回目となる工場見学に参加。前回参加した時は写真を撮らなかったし、そこまでチェコビールに傾倒していなかったので、記憶が曖昧なのだ。今回はしっかり映像に舌に焼き付けておこうと。
ビジターセンターみたいなところでチケットを買ってツアーに参加。敷地内では早くも麦汁の甘い香りが。ボトル詰めのラインを見て、
麦芽やホップを口にしてみたり、たくさんの煮沸窯が並んでいる場所に入ったり、歴史のビデオを見たりした後、
徐々にクライマックスへ突入に対する期待を高ぶらせながら、
とうとう、来ましたこの時が。。。木樽から直接サーブされる無濾過のUrquell。
美味すぎる!!既に「Na parkanu」で3杯飲んで飯も食べていて、幾分は味覚が鈍くなっているだろうにも関わらずこの鮮烈。店で飲むより相当温度が低いはずなのに、麦の甘味とホップの苦味がビッシビシ伝わってくるの。
無濾過のUrquellは「Na parkanu」でも飲むことができますよ、との話がガイドさんからあったのだが、もうさっき行ってるし・・・。あと、日本に入ってくるUrquellの瓶とチェコで飲む瓶とで明らかに味の差があり、中身がそもそも違うのではないかという話はよく聞かれる。実際、Urquellの社員がそう言っていたという記事も見たこともあるので、ガイドに聞いてみたところ、「Same!」とのぴしゃりとした返答。ただ、私の英語力が低すぎて、ちゃんと伝わっていなかっただけかもしれないので、もしこのツアーに参加された方やビールの輸入に関わっている方でご存知の方がいらっしゃったら是非ご一報いただければ幸いです。
Plzen駅に戻ったら、プラハ行きの電車まで少し時間があったので構内の軽食屋へ。2回目となる訪問。ここ、結構朝早くから開いてるので、意外と穴場。入口だけ見ると、何となく入りにくいのだが・・・。
ここではチェコで頻繁に見かけるブランド「Gumbrinus」を飲むことができる。GumbrinusもUrquellと同じ敷地内で製造されているのだ。あれ~、Gumbrinusに11°ができたんだあ。「EXCELENT11°」なんてお洒落な商品名がGumbrinusにふさわしいのかどうかはさておき、ボディがしっかりで重厚感があり、苦味は抑えめでほんのりとした甘味があり普通に美味しい。グラス一杯で退散したが、0.5Lでも10°で23コルナ、11°で27コルナと外で飲む値段にしては相当安い。Plzenに来るからには目的がはっきりしているため、駅構内で飲もうという発想にはならないかもしれないが、「日常のビール」を感じるにはこういうところで飲むのも面白い。
やっぱりPlzenはビールの”聖地”。何度来てもわくわく感とありがたさが相まってなんとも言えない幸福感に浸ることができるのだ。
さて、プラハに戻ってもう一軒。プラハで私がいつも泊まっているホテルから近いのでいつも気になってはいたのだが、初めて入ってみた「Prague Beer Museum」。Museumという名前はついているが、中はスモーキーなビアパブ。
チェコ国内のビールを30タップも並べている、こっちでは珍しいビアパブなのではないだろうか。テイスティングセットがあるというので、適当に5種類選んでもらったら、ちゃんといろんなスタイルを組み合わせてくれていた。
左から「Matuska」というチェコでは比較的積極的なビール作りをしているPivovarのアポロギャラクシーIPA。チェコでこんな思い切ったビールを作っているとは。いかんせん、このホップ苦手なのでありまして・・・。「Zatc」というザーツホップの生産地にあるPivovarのBaronkaというラガー。重厚で、よくバランスのとれたチェコらしいラガー。「Protivin」のダークラガー。「Svijany」のヴァイツェン。へー、ここでヴァイツェン作っているんだあ。バナナ香は全くなく、酸味が強い。イメージとは違う・・・。「Bakalar」という、初めて知ったPivovarのハニービール。ハニービールだあ・・・。すいません、適当なわけでなくテイスティングセットを頼んでしまうと、流れ作業のようになってしまうものでして。やっぱり、一杯一杯別個に頼んで、泡の感じから最後の一滴まで見た目に舌に楽しまないとね。
というわけで、最後に「Frankies」のIPL(インディア・ペール・ラガー)を。フレッシュなグレープフルーツ味が半端無く口に広がる。最近の複雑にホップを使ったIPAというよりは、もっと前に飲んだことがある、カスケード等を使ったシンプルな柑橘系のIPAといった出来栄え。
一日がとても充実したというか何かやり切った感があるのは誰にも理解されないと思いますが、これが正直な私の気持ち。旅行記間中とはいえ、当然の如くいろんな意味で浮き沈みがあるわけで、とにかく今日は良かった。