チェコビール巡り

チェコビールを中心とした旅行記と雑感です

ピルニーピヤーク 泉岳寺

 初めてのチェコ訪問を前に、チェコのビールを飲んでみようと思い立って足を運んだのが当時神田の高架下にあった「tail’s ale house」。一人でビアバーなるものに入ったのはこの時が初めてだったはずである。そして、初めてのUrquellは日本のラガーを飲み慣れた、いや、ほぼそれしか飲んだことのない私にとっては、薬っぽいというか、埃っぽいというか、とにかく、すっとは入ってこない奇妙な飲み物であった。その後、チェコ訪問を経て、本郷に今も健在な本店(?)にしばしば通うことになったのはチェコビール好きとしては、まあ、そう驚くことのない自然の成り行きとでも言ってよいのだろうか。まだ、その当時はビールを飲みに行くことへのアンテナは大して高くなかったので、日々インターネット検索をして情報を仕入れるなんてことは当然なく、Urquellを飲もうかなと思えば迷うことなく本郷三丁目に足を運んだものである。横浜の天王町に「Pivo屋」なるお店があることはこれも自然の成り行きでなんとなく認識していたのだが、東京に住んでいる自分が他県の天王町という全く知る由もない場所を訪れることになるまでにはいくらかの時間とチェコビールへの傾斜が必要ではあった。一度お店を訪れてしまうと、金曜夜に仕事を早めに片付けて、まるで密航者の如くそわそわしながら開店に間に合うように天王町を目指すようになったのは言うまでもない。もう、その頃には「tail’s ale house」、「Pivo屋」を始め、週一はラガー系を、週一はIPAを主としたクラフトビールを、週一は会社の同僚と居酒屋飲みを、さらに週末には山に行きがてらそこから近いビール屋をと、とにかく”忙しい”日々を送るようになっていたのだった。

 

 

 

 

 

 

 そのうち、いつの間にか「Pivo屋」は閉店し、その一方で街にはUrquellが溢れかえる状況となり、そんな中コロナが世界を覆い尽くし、ようやくそれも落ち着きを見せたのでビールを飲もうと思ったら、そもそもなぜ自分がそんなにビールを好きになったのか、何が私を10度もチェコを訪れさせるように駆り立てたのか不思議でしょうがなくなった。なんてことを幾ばくかの郷愁をもって振り返ろうと思っていたら、今回のお題のお店に出くわすことに。前振りが長すぎるね。インターネットの検索でひっかかってとりあえずと思って行ってみたら「Pivo屋」の店主がいらっしゃってびっくり。久しぶりの感覚が戻ってきて、当時と同じく6杯いただいたのであった。