チェコビール巡り

チェコビールを中心とした旅行記と雑感です

Pivnice U Andela

 朝起きてビールを飲む。これに優る至福なことなど未だもって思いつかない。んなこと、土日に起きてプシュっとやりゃいいだけじゃん、というのは想像力の欠如と言わざるを得ない。自分の両肩にずしりとのしかかったあらゆる荷物をゆっくり下ろすことが許されたときに実現されるべき崇高な行いであるべきなのだ。その至福の時を”疑似体験”できるのが『Pivnice U Andela』ということになっている。

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  朝6時過ぎくらいからやっているとされるこのお店は、実を言うと、ごりごりのビアバーという風情ではなく、バーとカフェの中間のような按配ではある。ビールも庶民の味方、ガンブリヌス一択。

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 だがしかし、何の感傷に浸ることもできないほどそっけなく、かつあっけなく注がれるその1杯はきっと朝にビールを飲むという以上の何かをあなたに届けることだろう。

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 今更ながら、チェコでビールを飲んで驚いたことの一つに、ビールなのに炭酸を感じないことがあった。いや、確かにチェコで飲むビールはこの通り半分近く泡で構成されてはいるけれど、全く炭酸が抜けているわけではないはずである。しかし、炭酸の爽快感をある種ビールの醍醐味と思っていた私にとっていくらか残っているであろうシュワシュワなど、ほぼ無いに等しかったのである。そして、ビールが”甘い”というコペルニクス以来の衝撃。ここのビールには”私のビール革命”がすべて詰まっているのだ。

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  ガンブリヌス。世界で一番ビールを飲むチェコ人になぜこのビールが愛されている(?)のか。ここにくればおのずと答えは導き出されるだろう。

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 ビールを飲むには”ビールを飲む雰囲気”があっていいのかもしれない。それは、ここがこう、そこがどうということではない。片方の手をカウンターやテーブルにつき、お店を軽く見渡しながらもう片方の手でグラスを持ち上げる。ビールを口にし、体にいくらか熱を感じると、頭から昇華するような、神経が研ぎ澄まされるような、なんでもできそうな、そして、自分がこの雰囲気の一部になってしまったような。もしかしたら”ゾーンに入る”とはこういうことなのだろうかと。

 決してアルコール中毒でも、ましてや薬物中毒でもないので通報とかしないで下さい。

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